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グローバル、地方創生、教育の国際化における、
私たちの最新事例をご紹介します。
長野県大町市シンガポールプロモーションプロジェクトインタビュー
2024.07.10
弊社は、長野県大町市および長野県立大学と協力し、シンガポール向けに大町市内の観光プロモーションや海外ブランディングをSNSを通じて実施しました。
本プロジェクトの目的は以下の三点です。
- 海外プロモーション: インフルエンサーを招致してファムトリップを実施する。
- 海外ブランディング: 海外ファン獲得のため、海外向けSNSアカウントを開設および運用する。
- 県内担い手育成: 両プロジェクトの推進と県内担い手の育成のため、長野県立大学の学生を参画させる。
これらの目的を掲げ、令和5年7月26日から令和6年3月31日にかけてプロジェクトを実施しました。
今回は、長野県立大学で本プロジェクトに関わった3名の方にインタビューを行い、学生にとってどのような体験や価値に繋がったのかを伺いました。
1.学生にとってこのプロジェクトの意義とは何でしたか?
竹内)
長野県立大学が掲げる開学からの理念として「グローバル発信」「地域イノベーション」「リーダーの輩出」がありますが、コロナ禍もあり、学生は学んでいる英語力を生かす機会になかなか恵まれていませんでした。今回のJapan Naviから提案された大町市プロモーションプロジェクトは、学生にとっても良い実践の場になると思い、協力することになりました。3つの理念にも共感するものであり、学生の成長に繋がる機会と考えました。
中川)
高校時代をコロナ禍で過ごしてきた学生たちなので、自分たちが学んできた英語がどこまで実際に通用するのか、そのような機会に飢えている学生たちでした。そういったタイミングだったので、今回の企画には参加希望者の手が多く挙がりました。
2.地域×グローバルについて
中川)
結論から申し上げますと、「地域×グローバル」というテーマに関しては、私自身も手探りの状態で、正直なところ何をすればよいのか明確には分かっていません。このテーマに関して大学内でも真剣に取り組んでいる教員はなかなかいないのが現状です。そのため、私もヒントを得るためにこの場に参加させていただきました。
バックグラウンドとしては、私は経済学を教えています。学生たちは授業で、英語はもちろん、地域振興や公共政策、イノベーションなど、経営学全般や公共政策系といった社会科学系のことを学んでいます。個人差はありますが、各学生は個別に勉強しながらプロジェクトに参加していました。
3.学生の主体性について
竹内)
入学時点で主体性を持っている学生が多く、企(起)業家コースなどのプログラムも用意されています。授業や学風がその主体性をさらに後押しし、応援する環境が整っており、学生の主体性は一層磨かれています。
須藤)
学生から様々な相談を受ける立場として業務にあたっていますが、今回の学生はとても意欲的に取り組んでいると感じました。また、プロジェクトを進行する中で、予定とは異なる事態や小さな解決すべき課題が出てきた際にも、意見を出し合いながら様々な手段を考え、行動し、目的を達成する姿を目にしました。これは、主体性がなければできないことだと思います。
4.プロジェクト実施中に直面した主要な課題は何でしたか?それらをどのように解決しましたか?
中川)
初めてのプロジェクトであったため、学生の提案と自治体の目指す方向にズレが生じることがありました。その結果、学生たちは困惑や疑問を抱くこともありました。しかし、そういった時にも学生たちは時間をかけて理解を深め、問題を解決していく様子が見られ、その姿勢には感心させられました。
5.プロジェクトの成果をどのように評価していますか?
中川)
学生たちは、大町市からインバウンド案件としてプロジェクトを請け負い、SNSで目標のフォロワー数を大きく達成したり、実際にインバウンドツアーを企画しファムトリップとして実施しました。その過程で、学生たちは大町市に赴き、現地の方々にインタビューを行う中でいくつかの気づきを得ました。
まず、大町市内でもインバウンドに対する温度差があることを感じました。プロジェクトを進める中で、すべてが順調に進むわけではなく、時には困難に直面することもありました。そのため、学生たちは「大町市は本当にインバウンドをやりたいのか?もしかしたらその前に他に考えるべきことがあるのではないか?」と感じるようになりました。
これらの気づきは、学生たちにとって大きな学びとなりました。
6.今年のプロジェクトの成果をうけ、今後の展望を教えてください。
竹内)
今回のプロジェクトをきっかけに、ある学生は大町市の同世代と意気投合し、この春に大町市を盛り上げるためのイベント「idetabi〜出旅」を実施しました。彼らはゼロからイベントを企画し、クラウドファンディングを活用して約900名の集客を達成しました。自らリーダーとなって何かを作り上げる経験を通じて、大きく成長したと感じています。
また、別の学生はこのプロジェクトを契機にJapan Navi様のインターンシップに参加しています。Japan Navi様のミッションである「グローバル×地方創生×教育の国際化」に共感し、自分のやりたいことを見つけるきっかけになったようです。
今後の課題としては、今回作成したアカウントや実績を一度きりで終わらせず、どのように継続していくかが挙げられます。しかし、今回のプロジェクトでは、地元の方が気づかないような解決策を大町市に来たこともなかった学生が外からの視点から提案しました。これにより、新たな知見を地域にもたらすきっかけとなりました。このような取り組みがさらに広がっていくことを期待しています。
須藤)
学生が運営しているInstagramをきっかけに、大町市の企業から声がかかるなど、思いがけない形で新しいつながりが生まれたプロジェクトでした。また、プロジェクト終了後、学生たちはそれぞれが自分に合ったプロジェクトを立ち上げたり、英語やグローバルな視点にさらに関心を持つようになったりしました。このように、さまざまな成果があったと考えています。
さらに、本学は主に長野市にキャンパスを構えていますが、このプロジェクトを通じて大町市が特別な地域になったとの声もあり、非常に嬉しく思います。今後もこのプロジェクトを発展させ、何らかの形で継続していくことが重要だと考えています。
中川)
プロジェクトがきっかけで派生した「idetabi〜出旅」のイベントは、今年の新入学生も動員し、一緒に取り組んでいたので、大町市のインバウンドのプロジェクトからは外れますが、後に続いています。また、大学の国際化を進めていく中で、重要なタイミングにあったプロジェクトだったと思います。地域と海外を繋げる手段というものを探していた中で、モメンタムを作る大事な1つのステッピングストーンでもあったと感じています。
お忙しい中、インタビューにお答えいただきまして、誠にありがとうございました。Japan Naviはこれからも地方の発展、ひいては日本の発展に貢献してまいります。そのためにも枠にとらわれない地方創生の仕掛けに挑み続けます。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。